(古本)猫と庄造と二人のおんな〈文庫版〉
谷崎潤一郎
新潮社 2000年 第63刷
15×10.6×0.8cm
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【状態】C⁺
カバー上部に小さな傷/表紙カバーにスレ/裏表紙に傷あり
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一匹の猫を中心に、猫を溺愛している愚昧な男、猫に嫉妬し、追い出そうとする女、男への未練から猫を引取って男の心をつなぎとめようとする女の、三者三様の痴態を描く。人間の心に宿る“隷属”への希求を反時代的なヴィジョンとして語り続けた著者が、この作品では、その“隷属”が拒否され、人間が猫のために破滅してゆく姿をのびのびと捉え、ほとんど諷刺画に仕立て上げている。(裏表紙より)
人間関係を超越したところから人間を振り回し、堂々と君臨するヒロインのリリー。谷崎も大の猫好きだったそうですが、猫の一挙手一投足、声の調子から姿態にいたるまで、猫の描写が本当に見事です。男も女もメロメロにしてしまう可憐なリリーちゃん。翻弄されてしまうのもわかる気がします。