タマ、帰っておいで
横尾忠則
講談社 2020年
18.6×18.6×1.6cm
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「この絵はアートではない。猫への愛を描いた」――横尾忠則
日本が世界に誇るアーティスト・横尾忠則が描いた「愛猫への鎮魂歌(レクイエム)」!
横尾さんが愛した猫「タマ」の絵が一冊の画集になりました!
愛猫「タマ」が亡くなったその日から、魂を鎮めるために描いたタマの絵、なんと91点!
そのすべてがこの一冊に!(出版社HPより転載)
横尾忠則といえば、極彩色のサイケデリックなグラフィックアーティスト。そんなイメージとは全く異なり、こんなにも深く優しく真っ直ぐに、一匹の猫に向けて愛を語りかける姿に驚きます。
「タマの死を描くことは自らの死を描くことでもある。」
「絵は人の命より長い。」
愛するものと別れても続いていく生。その現実と折り合いをつけようとするかのように、タマのために、自分のために、描かれ続けた作品たち。痛々しいほどに、喪失の哀しみが繰り返し呟かれる日記。
2014年のタマの死から6年にわたり、何度もタマを夢で見、同じような構図で絵を描き続けていることにも胸が締め付けられる思いがします。
しかし!
ただセンチメンタルなままでは終わりません。
あとがきに登場するタマからのメッセージは、涙なくしては読めないのですが、優しいながらも、それまでの日記の感傷を全て覆してしまうかのようなパワーがあり、これを書けるということが、やはり横尾忠則の凄みなのではないかなあと改めて実感します。
¥2,420