(古本)猫は生きている
作 早乙女勝元
絵 田島征三
理論社 1989年 第62刷
25.5×20.5×1.3cm
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【状態】C
表紙カバーにスレ・傷・折れ/表紙角一部に小さな破れあり
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昌男の家のえんの下に住み着いた、のら猫の「稲妻」と4匹の子猫たち。人間たちは少しの食べ物で我慢し、防火訓練に明け暮れていますが、猫たちは力強くのびのびと暮らしているようでした。そんな中、3月9日の夜がやってきます。
およそ8万4000人が命を落としたと言われる東京大空襲。その一人一人に家族とのかけがえのない生活があったと同時に、被害に遭ったのは人間だけではなかったはず。ともすれば忘れがちな視点から紡がれるこの物語は、人間の身勝手さと、市井の人々の倹しさや思いやりを同時に感じさせます。
人間の親子と猫の親子が、命を諦めることなく、協力し合って生き延びようとする壮絶な道行がこれでもかと描かれ、胸が苦しくなるほどです。
12歳のときに東京大空襲を経験した早乙女勝元は、東京空襲の語り部として、戦争を題材にした多くの作品を通して平和を訴え続けました。
この作品は、1973年の初版から、現在も出版され続けているロングセラー。経験者が少なくなっているからこそ、目を逸らしてはいけないこと。大切にしなくてはならない作品です。
¥400