(古本)きりこについて〈文庫〉
西加奈子
角川書店 2011年 初版
14.9×10.7×0.9cm
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【状態】B
表紙カバーにわずかな汚れ
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両親に可愛い可愛いと言われ続けて育ったきりこは、自分の外貌の醜さに気づかないまま成長するのですが、ある出来事をきっかけに、学校でのリーダー的な地位から転落。そんなきりこの側にずっといたのは、一緒に育ち、きりこと会話のできる黒猫のラムセス2世でした。学校に行かずに昼間は眠って過ごし、夜になると地域の猫たちと過ごすようになったきりこ。だんだん猫のようになっていくのでしたが、ある日不思議な夢を見て...。
「きりこは、ぶすである。」から始まる物語。きりこの醜さを描き出す作者の表現は辛辣で、容赦がありません。でも、外見の美醜を価値観として持たない猫たちの存在が、きりこをより深いところへと導きます。
この世界の現実に打ちのめされた女の子が、本当の自分を受け入れ、立ち上がり、そしてある境地へとたどり着くまでの成長譚です。
きりこを愛するラムセス2世とのやりとりが、とても可愛らしくてほっこりするポイント。猫は優しいですね。本当に優しいです。そしてやっぱり立派だなあと尊敬してしまいます。