ねこのおもちゃ絵
長井裕子
小学館 2015年出版
21×15×1cm
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おもちゃ絵とは、江戸~明治期に流行した、主に子ども向けの浮世絵です。「○○尽くし」と呼ばれる、図鑑を兼ねたような一枚絵だったり、この本の表紙の「ねこ」みたいに、動物で書かれた文字だったり、上下をひっくり返しても顔になるような「だまし絵」だったり。なかには、切り抜いて着せ替えができたり、お雛飾りが作れたり、ミニチュアの建物が作れたりする、ペーパークラフトのようなものもありました。
また、江戸から明治へと時代が移り変わるなかで、当時の風俗が描かれているのも興味深いポイント。浮世絵らしい渋さと昔の人の遊び心が相まって、実に良い味わいがあります。
そんな心ときめくおもちゃ絵、実はねこものがかなり充実しています。
この本をめくればそこは猫の世界。
人力車に乗るおばさま猫、校庭で縄跳びする子ども猫、家事にいそしむ猫、蕎麦やうなぎに舌鼓をうつ猫...。のきなみ猫背でぎこちない姿勢なのがまたたまりません。
猫ラブな絵師・歌川国芳が、天保年間に、歌舞伎役者の似顔絵をねこにして表現したことから、浮世絵界にねこブームが巻き起こったとのこと。
尊いですね。
¥1,430