猫は奇跡
佐竹茉莉子
辰巳出版 2024年出版
ISBN 978-4-7778-3176-0
18.8 × 12.8× 1.3 cm
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猫って、とてつもなく不思議な力を持っている? そう気づいたのは、子どもの頃だった。初対面の人でも、内なるやさしさを瞬時に見抜いた。学校で悲しいことがあると、そばにいてそっと頬や手の甲を舐めてくれた。集団行動が苦手な私にとって、猫はいつも味方で親友だった。
フリーライターとなり、猫の取材も重ねるにつれ、「猫って、すごい」という思いは揺るぎないものとなる。何人かの獣医さんからも「猫は奇跡を起こす。
他の動物では見たこともないような」とお聞きした。実際、人間には及びもつかない復活や助け合いや、飼い主の人生を一変させたドラマを、幾度となく取材してきた。
奇跡を見せてくれるのは、なにも特別な猫だけではない。今、私は、農園で菜っ葉をかじって生き延びていた黒猫「菜っぱ」に、毎日心を見透かされながら暮らしている。ある朝、窓辺の菜っぱの瞳が、緑を映して煌き らめいていた。その美しさといったら! 猫はその体じゅうに奇跡を秘めているのだ。さらには、猫のただひたすらに前を向く生き方がさまざまな「奇跡」を生んでいるのだとも思う。
思えば、こんなにも愛おしい存在に出会い、人生を共にすること自体が、奇跡のようなものである。
――「はじめに」より
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